〔理論編〕
「集団づくり」を考えるフィールドとして
(1)学校現場の論議から(課題として出されたもの)
・気になる子ども・集団の要素(個)への対応に追われて学級集団全体が掌握できなくなってしまいがち。
・学級の子どもをまとめ、規律を作っていくにはどこから手をつければいいのか。具体的な手法・みちすじは…
・おとなしいタイプの子どもたちは何を感じ、どこを向いているのか-
学級に埋没してしまっている子どもがいるのでは…
・各学年をつなぐ集団づくりの積み上げ・系統性を校内でいかにして共有していけばいいのか…
・職場の多忙化子どもの生活背景の変化に追われてと学級指導と学級活動のバランスが変形してきてはいないか…
↓
(2)「子どもの権利条約」(1989年国連総会採択→1994年日本批准)から照射される
もの =“The Best Interest”; 最善の利益 の実現にむけて
・社会を形成する主体の育成=学校が「生き方を学ぶ場」として再生すべき
・教科書の内容を習得するだけでなく、真の「生きるちから」を陶冶していくことが欠かせない
・個人的学びとともに、学校を人間関係づくり(自他をみつめ、集団との関わりを紡いでいく)を通した自己実現の場へ
・何よりも、被差別的状況にある子ども、厳しい立場にたつ子どもに光をあて、勇気づける営みとして集団づくりを進めていくべき
学習権宣言(The Right to Learn;1985.3.29 第4回ユネスコ国際成人教育採択)
学習権とは、
読み、書く権利であり、
質問し、分析する権利であり、
想像し、創造する権利であり、
自分自身の世界を読み取り、歴史をつづる権利であり、
教育の手だてを得る権利であり、
個人および集団の力量を発達させる権利である。
(3)文科省「第3次とりまとめ」(2008年)による枠組みとして
・人権教育の成立2条件;知的理解、人権感覚
・資質・能力の3側面 ;知識的側面、価値・態度的側面、技能的側面
(4)人が育つ3つの間 ; 「時間」「空間」「人間(じんかん)」
の効果的・有機的創造の場として豊かな学び合い・オーケストレーションを実現していく
(5)社会的な自己実現をめざす方向性
◎将来の社会の担い手(民主的主権者)として、社会力(様々な人とつながり、社会をよりよくしていこうとする意思・態度・実践力)を育てたい
○豊かな人間関係(お互いの個性やよさを認め合う)をつくるために
学習やアクティビティを通して
自分と向き合い、理解する 自分もまたこの集団の中で
相手を認め、理解する → 認められ、新たなつながり
お互いの思いや願いに気づく や行動を生み出す
理解や共感を深める
○進路を切り拓く力(思考力・判断力・表現力・実践力)を育成するために
学習やアクティビティを通して
自分の学びをたしかなものにする 自他の学び合いのなかで
友だちの願いや考えに学ぶ → 将来に希望や展望を持ち
こんな自分・こんな仲間に… 新たな課題に取り組む
というイメージを持つ
自己の成長や変容と向き合う
地域の価値あるひと・もの・ことと出会う
将来の職業や展望について考える
(6)人間関係づくりのベースとして
人間存在の基本
“自分のことをわかって欲しい” ←受容・共感(汲み取る)
“人の中に自分の居場所をつくりたい” ←所属感・安心感・有用感
VS
〝どうせおれは…〟 開き直り・強がりの背景に孤独感が常に存在
教育的居場所;生きていくために不可欠で自己実現・相互扶助に不可欠な場所
◎個人的居場所;自尊感情、自己確認の場所(アイデンティティ)
◎社会的居場所;他者にとって自分が必要とされている場(メンバーシップ・自己効力感)
コミュニケーションの基本
◎表現すること (話す…) と ◎受けとめること(聞く…)
の双方向性が不可欠
↓
個と個をつなぐ・個と集団をつなぐ
意図的・具体的なしかけ・営みをいれていく
→自分の思いを伝えようとすることもあきらめさせてはいけない
(7)「自尊感情」の育成と集団づくりのみちすじ
「自尊感情」とは-
・「自分が好きである。」「自分を大切に思える心」のことを言う。自分をかけがえのない存在として認めること等を含め、自分自身についての評価の感情である。
○自尊感情の4つの柱 (大阪大学 池田寛教授による)
・自分のことをわかってくれているという気持ち(包み込まれる感覚)
・友達との心の通じ合いができているという気持ち(社交性感覚)
・自分はこつこつ努力できる、最後までやり通すことができる、という気持ち(自己効力感)
・今の自分が好きだという気持ち(自己受容感覚)
○自尊感情の構成概念を①社会的領域②学業的領域③家族④身体的イメージ⑤全体的なイメージの5つに分類することがある。⑤の全体的なイメージで子どもを見て、この子は自尊感情が高いからから、特に課題はないなどと考えてしまっていないだろうか。しかし、それぞれの領域で、子どもを見てみると、たとえば、学業的領域では自尊感情は高いが、家族や身体的イメージの領域では低いといった子どもたちがいるかもしれない。つまり、どの子もその子なりの課題を抱えている可能性がある。
基本は-
①被差別状況にある子・レッテルをはられている子・集団の課題
これらを顕現化していくとりくみ
↓
②集団の質の問い直し・変容
↓
③新たな課題・目標の共有化と次のランクでの活動 のスパイラルな連続
具体的には-
○一人ひとりの自尊感情を高めていく
「こんな自分でもいいじゃん」
「わたしだって、やるときはやるったい」
○クラス全体のリーダーシップ(チーム力を引き出す存在)を活性化させる
・よさを見つめる目 「あの人、こんなところをもっていたんだ」+ 「こんなにがんばってた」
・よさを伝える表現力 「ぜひ、みんなに知らせたい」
○集団を耕して支持的風土をつくる
「あの子、すごい」「教えてもらってよかった」
「わたしもがんばらなくちゃ」
↑
☆「なかよし」から「仲間」へ
☆「出会い」と「出会い直し」のプロデュース
☆きき合い、語り合い、学びあう仲間へ
3つの「きく」の段階 ; 「聞く」・「聴く」・「訊く」
教師が勝負するフィールド・基本は授業 ; 学習集団づくり
(8)「中心にすえる子・核となる子」のとらえ方と集団づくりの営み
「中心にすえる子・核となる子」とは
・被差別の立場、厳しい生活環境のなかで通学している児童
・学力的に課題を持つ児童
・友だちとの関係作り、集団生活において課題を持つ児童
・この子が変わる(学習・学校生活で前向き・建設的に意欲を出す、固定観念が変えられる)ことで学級が変容する児童
どのような取り組みをすすめるか
○保護者とつながり、生活背景・家庭状況・生育の足跡等その子の見えないカリキュラム(hidden curriculum)をつかむ。
○教職員のその子へのとらえ方を変える;情報は具体的に受けとめるが、自分のとらえ方に固定観念がないか点検する。
○その子と心情的・情緒的につながる。思い・願いをとらえる。共感的立場の支援者であることを感じてもらう。
○周囲の児童→地域・保護者のレッテルをはがしていく。
・平均的尺度と対比した見方ではなく、その子の具体的な変容(伸びしろ)をとらえ、意図的・効果的に学級に返していく。
・学級通信・懇談会等での適切な内容・範囲での情宣もすすめる。
○学級でのその子の「居場所」を拡大していく。
・授業改善 ;その子も理解でき、楽しく意欲的に学べる授業
→学級のどの子にもわかりやすくとどく授業
・活躍の場所;その子の個性・得意分野を生かした係、役割、活動の
場を新たに創りだしていく。
○保護者とその子の課題・支援の内容と具体的方法を共有して学校と家庭で連携した取り組みを進めていく。
(9)教職員として集団づくりの力量を高める具体的なみちすじとして
◎大切なのは「何のために」と「どのように」
習 破 離
研修のキーワード;豊富な引き出し・追試からアレンジへ・オリジナリティの追求
☆中・長期的に意図的・計画的な仕掛けをいれる取り組み
+
☆問題点・ピンチをチャンスにしていく即時性と機動力
↓
★逆境をもバネにして生きぬく子どもたちの育成
エンパワメントの教育;楽天性(×楽観主義)
◎一人ひとりの生活現実、生育史、親の労働史をふまえ、自尊感情、
集団や社会へのアイデンティティ、自己実現のビジョンを育てる
(10)近年の学級作り・人間関係づくりの理念・手法・メソッドに学ぶ
・児童の実態に即して取り入れ活用していく。
「学級力」とは-
・子どもたちが学び合う仲間としての学級のなかで、常に協働してチャレンジする目標をもち、友だちとの豊かで創造的な対話を通して、規律と協調のバランスを保とうとする力である。学級力を次のような5領域15項目からなる力の総体としてとらえる。(田中博之教授による)
領域1 目標をやりとげる力 (目標 改善 役割)
・いつもみんなで達成したい目標があり,係活動等に責任をもって取り組み,子どもたちが生き生きといろいろなことにチャレンジしている学級。
領域2 話をつなげる力 (聞く姿勢 つながり 積極性)
・授業中に友だちの意見につなげて発言したり,友だちの意見を尊重してよりよいアイデアや新しい考えを生み出したりして,コミュニケーションを豊かに創造できる学級
領域3 友だちを支える力 (支え合い 仲直り 感謝)
・勉強やスポーツでよく教え合い,係活動等で助け合い,「ありがとう」や「ごめんなさい」が素直に言え,友だちをの良さを認め合い大切にできる学級
領域4 安心を生み出す力 (認め合い 尊重 仲間)
・友だちの心や体を傷つけたりせず,友だちのよさを認め合い大切にして,男女仲良くだれとでも仲間になって遊んだり学んだりできる学級
領域5 きまりを守る力 (学習 生活 校外)
・学校の内外で多様な学習や生活のルールを守るとともに,それらを話し合いによって創り出していくことができる規範意識の高い学級
「学級力向上プロジェクト」
「学級力向上プロジェクト」とは…子ども達が学級づくりの主人公となって,学級力(学び合う仲間としての学級のなかで,支え合い協働してチャレンジする目標をもち,友だちとの豊かな対話を創造して,規律を守り協調的な関係を創り出そうとする力)を高めるために学級力アンケートで自分たちの様子をセルフ・アセスメント(自己診断・自己評価)することを通して,毎日の学習や遊びの中で意図的・計画的に取り組む実践的・協同的な仲間づくりの活動・問題解決学習である。
〈基本的な進行パターン〉
学級力アンケート→学級力レーダーチャート→スマイルタイム
→スマイルアクション→スマイルミーテイング
→教師用学級経営自己評価アンケート
「ワークショップ学習」
「ワークショップ学習」とは…子ども達が小集団で協力し合って,参加型ワークショップを通して自由で個性的な表現を創作することにより,自信と信頼関係,創造性,協力性,規律などを育てる学習方法・学級づくりのメソッドのことである。(田中博之教授による)
◎ワークショップ学習で育てる力
①思考力と言語力〔深い思考,共同思考,創造的思考の発揮〕
共通の目的にむけての個人思考や共同的な学びとしてのシェアリング,
練り合いのなかで高度の段階をみつめながら思考し,伝え合う活動を
通して言語力を高める。
②想像力 〔発想,創造,工夫,創出する力の向上〕
生活・学習経験や資料・題材をもとに新たな段階での可能性やよさを
追求するために発想を広げ,創造的な力を伸ばしていく。
③自信と信頼 〔自尊感情,自信,他者理解,自己発見〕
学び合いや協同的な活動のなかで自分の可能性を発見して自尊感情を
高めるとともに友だちのよさを見出していく。
④協力性 〔関係構築,連帯感,共同性,一体感,共感〕
同じ目的を追求する友だちとの関わりの中で力を合わせ,支え合い認
め合う喜びと共にものごとを達成していく連帯の素晴らしさをつかん
でいく。
⑤実践力 〔自立性,主体性,行動力〕
主体的,積極的に目標に向かって努力を重ねる中で自分の可能性を信
じ,主体的に行動しようとする意志と実践力を高める。
⑥規律 〔ルール遵守,人の話を聞く姿勢,動と静のけじめ〕
集団の一員として学び,活動するなかで社会的な約束やマナー,規律
を身につけていく。
◎ワークショップの5つの特徴
①融合性 身体と言語,イメージを融合して思考したり表現したりする。
②触発性 個人のアイデアや構成を生かして集団で発見や創造に取り組む。
③実践性 発想したことをすぐに行動化してさらに発想を豊かにしていく。
④工夫性 大きな創造につながる小さな創意工夫を行う。
⑤発展性 試行錯誤や作り替えによる自由で構成的な表現を生み出す。
◎ワークショップ学習で充実できる新しい学習指導要領の特徴
○問題解決的な学習 ○自主的,自発的な学習
○教師と児童の信頼関係及び児童相互の好ましい人間関係
○学習の見通しを立てたり学習したことをふり返ったりする活動
○興味・関心等に応じた課題学習 ○発展的な学習
◎ワークショップ学習の具体的手法
①カルタ ;一般にイメージ・マップやウェビングとよばれるもので,自分の頭の中にある雑多なイメージやアイデア,知識や概念,そして体験のエピソードや感覚の記憶などをネットワーク状に整理するために描く図のこと。
②評価セッション ;自分や友だちが身につけた力や学習の成果と課題について単元や年度のまとまりごとに評価する学習。
③成長発表会 ;評価セッションの成果を活かして自分の成長の成果と課題を発表することを通して自尊感情を高め,よさを認め合う関係を作り出す活動。
④サークルタイム ;子どもたちが床の上に円形に座って,あるテーマのもとに全員参加対話する活動。
⑤ドラマ ;子どもたちの創意工夫を通して発想を豊かにし,心と体をほぐすことによって表現する意欲や創造性を育てるワークショップ学習のひとつ。
・ワークショップ学習のアクティビティは,子どもの身体と言語を関わらせながら活用することが多いので,上記①~⑤それぞれの特色を活かすとともに,いくつかを組み合わせて実践して学級力を高めるとともに,必要に応じて各教科・総合学習に組み入れることによって活用学習の充実を図ることをめざす。
教え合いと学び合い
・教え合いと学び合いのあるクラスでは、学習内容の習得と活用を促し②子どもたち同士が学習意欲を高め合い、学力が高まる(田中教授他による全国調査2007)。
・学級力(やりぬく力+つながる力)は教科学力やPISA型読解力と強い相関関係にある。学級力あ向上すると教え合いや学び合いが成立するとともに、落ち着いた安心できる、規律ある環境で集中した学習が成立する。
・こうした学習活動における協力や協働の活動を意図的にカリキュラム化し、教科の指導をはじめ特別活動や道徳、総合的な学習の時間や教育課程外活動において機会をとらえて、小集団による共同解決・共同制作の場面、全体発表等で子どもたちの異なる考え方を比較する場面、そして学習のルールを作り合う場面を設定する努力を積み重ねる必要がある。
すべての子どもの思い・考え・発言を引き出していくために
○発言した子を指名しながら学習を進める
+
○導入の工夫;フォトランゲージ・実物を持ち込む等
○発問の吟味・盛り込む内容;どの子にもわかるレベル・内容にする
○全体の話し合いに入る前に、個人思考の場・グループ交流の場を保障する〈授業スタイルのモデル参照〉
○列で指名→考えのまとまった子から発言→挙手した子を指名して内容を細く・発展させる
(ランダムではなく、発言を引き出したい子を配慮して列を選択する)
○お互いに指名し合い、学習を進める
○フリースタイル(指名・挙手ではなくつぶやきを自由に出し合える時間)
…
めざす子どもの姿と中心にすえる子
〔第3次とりまとめ〕では人権教育は人権に対する知的理解と人権感覚の涵養を基盤として,意識,態度,実践的な行動力など様々な資質や能力を育成し,発展させることを目指す総合的な教育であるとしている。教育実践においては,特に価値的態度的側面と技能的側面を焦点化し,「わかる・理解する」ことに加えて自ら表現・行動していく子ども像を追求していくことが大切である。
学 年 |
低 学 年 |
中 学 年 |
高 学 年 |
価値的態度的側面 |
笑顔で優しくぬくもりのある言葉を使おうとする子ども |
友だちと支え合いながら,ともに活動しようとする子ども |
矛盾や問題点に気づき,自ら根拠をもって解決しようとする子ども |
技能的 側面
|
自分の考えを持ち,順序を考えながら表現したり,周りの人の気持ちを考えたりすることができる。 |
自分の考えや思いを相手や目的に応じ適切に表現したり,周りの人の気持ちを考えたりすることができる。 |
自分の考えや思いを相手や目的・場に応じ適切かつ豊かに表現したり,周りの人の気持ちを共感的に考えたりすることができる。 |
聞く |
人の話を最後まで静かに聞くことができる。 |
話の要点や相手の気持ちを考えてきくことができる。 |
自分の考えと比べたり,相手の立場になって聞いたりすることができる。 |
話す |
「わたしは~だと思います。」と考えを話すことができる。 |
自分の考えを,進んでていねいに話すことができる。 |
自分の考えを進んでわかるように話すことができる。 |
書く |
経験をもとに具体的に書くことができる。 |
はじめ・なか・おわりを意識し,思いや考えを盛り込んで書くことができる。 |
全体の構成を意識して書くことができる。
|
授業スタイルのベーシック・モデル
|
↓
|
↓
|
↓
・・・
↓
|
集団の秩序・規律を向上させる(たて直す)ために
〈重点チェック〉
※学級の子ども・自分が関わっている子どもを思い浮かべて
(1点△ ~ 5点◎)で
□ 朝の始業時刻・授業開始時刻に子どもたちが自分で席についているか
□ 授業中・給食時間等に着席行動ができているか
□ 教師の指示を注目して聴けているか、お互いの発表をきき合っているか
□ 学習や学級活動に学ぶよろこびや活気があるか
□ 友だちや学級に問題点を感じた時、仲間や教師に遠慮なく伝えているか
□ 力を持つ子がはばをきかせて(ボス的行動・プレッシャー)いないか
□ 自らあまり表現しようとしない子の居場所ができているか
〔実践編〕
人間には自分が従うための良いヴィジョンが必要だ。鷲が空の最も青いところを目指すように、それを得たものはそれに従わなくてはならない。
クレイジー・ホース(ラコタ)
1 子どもたちとの出会いと学級集団形成の過程
A担任発表で子どもの前に立つ5分間 B学級開きの20分間 C黄金の3日間~学級の方向性をきめる日々 D集団の規律が定まり創造の営みがスタートする2週間 E一気にゴールデン・ウィークまで~トラブルをチャンスに F学期末までのスパン~安定と改善の日々 |
G生活・学習の規律を定め直す9月 H感性を耕し、文化的創造活動を営む10・11月 I成長と励ましの中間総括の12月 J新たな発展のめあてと取り組みをつくる1・2月 K成長・変化の足跡を共有
→ 次学年への展望を創る3月 |
A.担任発表で子どもの前に立つ5分間
・最初の出会い、紹介された後の第一声、一人ひとりと熱く視線を交わす
B.学級開きの20分間
ほんとうに短い時間。余計なことは全て省いて確実に実をとる。
その日で「つかみ」を成功させる。;目の前の子ども+離れた保護者
①教師の自己アピールをする―どんな個性の印象を直球で投げるか
②方針を簡潔、明快に告げる
③一人ひとりとつながる; 名前を呼ぶ、握手、個人写真、ハイタッチ…
※数日間座席は出席番号順で確実に児童理解をこなす。
※そのために配布物、連絡は事前に工夫して最小限に
「先生からの発信は今日したよ。今度は君たちの考えをききたい。明日にね!」
④そしてオリジナルの宿題(ワークシート)により2日目の取り組みへつなぐ
(子どもへ)こんなクラスにしたい、という内容を3つ以上
(保護者へ)お子さんのいいところを3つ以上教えてください
↑
※学級便りで担任としての個性を伝え、抱負・方針を表明する。
私にとって学級通信は「檄文」
※自己アピールのネタがどうしても… →10秒で書けるウルトラマン
「先生は指相撲の天才だ」…
C.黄金の3日間
どんな子も新しい出会いに期待を持ち、素直に振る舞う。
スケジュールの中でできること・重点課題を精選して。子どもに入力・出力双方の活動を順序良く仕組んでいく。
〔重点目標〕
①学級の規律をつくる。
②子どもたちの組織化をはかる。
③授業のよきスタートをきる。
(活動内容例;順不動)
○宿題「こんなクラスに」集約→学級の目標作りに活かす
○出会いをつくり、お互いを知り合うゲーム
※出会いビンゴ・先生の自己紹介クイズetc.
○班・当番・係(当番活動との明確な区別を;自治的・自主的・創造的活動=会社!)等の日常生活システムの確立
○学習開始;①実態調査も含めた復習プリント
②子どもをひきつける内容(知的興奮)を含んだ授業を必ず
一つ!!
③学習内容を教えるとともに「学び方」(学習規律・ルール)も確実に伝えていく。
○クラスのルールづくり;全員に通用し、ある程度の柔軟性を持つものを子どもから引き出す。腹案は持ちつつサーフィン。
<こだわり>
☆この間に最低の集団規律を伝え、定着にむけてトレーニングし続ける。
(チャイム席、必要以外は席を立たない、発言者はみんなの方を向いて
しゃべる、発言者の方に体を向けて聞く、教師の発言中は手遊びをし
ない、作業停止をみんなでそろえる、あいさつを全員でする…)
必要なことは躊躇なく提起する。+子どもの自主性を引き出す。
規律は一方的に押し付けすぎると学級のトーンが下がる。できたこと、できた子をほめることを中心に!小さな目標を作り、達成した際に褒美のミニ集会等を行って達成感と信頼感を築いていく。
☆2日までにはデジカメで個人写真を撮り、次の日までに名前と顔を一致させる(個人目標・自己紹介カードに添付)。+早くから名簿に親しみ、数日後には全員を暗誦する。
担任の努力の足跡を表明し、一人ひとりを大切にしていることを事実で示す。
☆家庭訪問の前までに何らかの手段で保護者全員と事前のアクセスを実現しておく。(どんなに小さなことでも学校でのがんばりやきらりと光る言動をとらえてすかさずその日に伝える―電話、連絡帳、病欠の家庭訪問等のあらゆる手段を駆使して)
子どもをほめられて喜ばない親はいない。最初からプラス志向の風を送り続ける。
D集団の規律が定まり創造の営みがスタートする2週間
○先手必勝!学級は生きている。「少し落ち着いてから…」「余裕が出てから…」という躊躇を捨てて、学級にとって必要なエクササイズを導入していく。「とりあえずの安定」をつくりだしながら、めあてと展望をもった取り組みをうちこんでいく。
○給食等の雑談や遊び、遠足等の行事を通して一人ひとりと意図的に対話をし、心情的につながっていく。
○生活状況の把握→気になる子には前担任から話を聞き、必要に応じて家庭訪問をする。健康・安全面の確認は第一。
○授業参観・懇談会はまたとないチャンス
その日は必ずやってくる。守りに徹するか、自ら挑むか…
保護者はその熱をよみとる
・入念に準備し、一人ひとりの活動が見え、学級のまとまりが伝わる授
業をみせる。
・学級経営方針と子どもを見つめる教師の熱いまなざしを伝える。
・こちらのしゃべりばかりでは息がつまる。保護者に語らせる話題・展開の工夫を。
「こなきゃそん!」という学級便りでの事前情宣
+「きてよかった」という当日内容と演出+欠席者へのフォロー
<その他の工夫>
・保護者の自己紹介;名前+α(子どものよいところ、今はまっているものetc)
・子どもの名前と保護者の好きなものワンポイントマークを書いた名札
・子育て上、ためになる話or持ち帰り資料を準備しておく。
・欠席者には次の日に宛名つきで資料を持ち帰らせる。できれば、一行メッセージを添えて。
E.とりあえずゴールデン・ウィークまで ~ F.学期末までのスパン
○授業の質の向上と学習集団の形成を計画的に進める。
全ての基本は毎日の授業。
○行事・ダイナミックな活動(跳び箱全員クリア・全員発言etc)の機会を捉え、成功体験から学級のトーンを明るくしていく。
○トラブルは起きて当たり前。問題解決の積み上げから学級を磨き上げていく。
ピンチをチャンスにする。問題行動を教材として活かす。
「問題」行動を一つのメッセージとして捉え、それに応える取り組みをつくること。それには周囲の教師集団の力を惜しみなく借りること。
「先生はこれだけは許さない。」という理解が子どもたちにいき渡ったかー
「先生は自分を必ず大切にしてくれる。」という信頼が得られたかー
○集団規律を高め、係活動・自主活動を活性化させるなかで自主的・自治
的集団に育てていく。
担任が休んでも一日をまわせる集団を目指せ!
班は小さな社会であり、共に生きる技を身につける場。
「リーダー」とともに「リーダーシップ」を育てよ。
個人指導と集団づくりのそれぞれの展開とその結合をすすめるなかでお互いを育てる教育力が育っていく。
○子ども、学級集団の姿がつかめ、課題もみえてきた時期に学級の「未来
予想図」(指導構想)を自分らしいかたちで練り始めること。
○「あゆみ」のつけ方・評価の仕方; →次回教文研を待て
<こだわり>
☆生活・学習の規律については入れこみながらも子どものいいところを表現し続ける。説教・指導の際は納得できる理由を明らかにする。
☆単なる「やさしさ(→気楽さ)」の押し売りではなく、問題のある言動には毅然として指導も入れる。
子どもとの間合いはやさしさと厳しさの両面から創られていく。
☆家庭訪問の前までに何らかの手段で保護者全員と事前のアクセスを実現しておく。(どんなに小さなことでも学校でのがんばりやきらりと光る言動をとらえてすかさずその日に伝える―電話、連絡帳、病欠の家庭訪問等のあらゆる手段を駆使して)
子どもをほめられて喜ばない親はいない。最初からプラス志向の風を送り続ける。
F~K.各時期の成長の足あとを見つめ合い、共有する(勇気づけ、先の展望をつくる評価)
○具体的な変容(成長・変容・頑張り…)をみつめる場をクリエイトする活動
・「9つの部屋」による“自分にとっての今年の大事件”
個人で記入 → グループで相互交流 → クラス全体で共有
・五行詩による「成長の足あと」
・感性を磨き、じっくり自己を見つめ直す「自分の手」
・名前にこめられた思い・願いに出会い直す「My Beautiful
Name」
・イマジネーションを土台にした「自分イメージ・マップ」
・個性・可能性の延長線の座標を開く「未来予想図」
・自分の成長の背景にある親の労働・人生をみつめる「どんな仕事や人生があるんだろう」
・「友だちとは」ダイヤモンド・ランキングとクラスの宝位置づけ
・「あの時、きみは」カードへの記入
・「成長・頑張りシート」「成長の足あと」シートへの記入
(自己評価 + 友だちからの評価 + 保護者からの評価)
→ 「この人はだれでしょう」クイズ大会
・文集のテーマにもめあてに即した題材を
「この一年間で自分が変わったこと」etc
○子どもの作品・成長の足あとをクリアブックに入れ込む(or製本する)
→自分のジャンプした場面にシール(付箋)を貼る
→友だちと交流、友だちのジャンプしたところにも貼る(別の色)
○学級通信「○学期の3大ニュース」寄せ書き号、ひと文字カルタ
<こだわり>
☆各時期に生起する課題や子どもの提起することがらを大切に受けとめながら学級の歴史をかたちづくるドラマとして共有し残していく。特に中心に据えた子どもの変容や成長を学級のたからとして位置づけ、意味づけていく。
教師はみなよかれと思って教育活動を行っている。しかしそれがどうとどいているのか(教育効果)に対して真摯に振り返らねばならない。
☆子どもの成長の足跡や作品をポートフォリオとして時期別に残し、学期末・学年末には個人内評価に加えて〔個←→集団〕〔個←→教師〕〔個←→家庭〕の関係の中で見つめ合わせ、今後の成長を勇気づけ展望するみちすじをつくっていく。
☆取り組みの姿や子どもの変容・成長(プラス面)を計画的・意図的に伝え、ともに子どもたちを支援する風土をつくっていく。
様々な場で保護者の仲間作りもすすめていく。
→具体的に伝える手法;学級便り・連絡帳・電話・直接の対話…
学級通信の質を問い直す;お知らせ→メッセージ
「この学級便りは宝です。この子に一生持たせていくようにします。」
→子ども一人ひとりの成長と努力をみつめて家庭に伝え続ける。
;ポジティブな情報を届ける日常的なみちすじの上に課題・問題点が載る。
問題点を指摘するときは、合わせて課題克服の手立ても示す。
自学自習へのみちすじを拓く
「子どもに一匹魚を与えれば その子は一日生きられる。
子どもに魚のとり方を教えれば その子は一生生きられる。」
・学級での指導 → 学級便り・懇談会で意義・方法について伝達する
・課題のある子には個別に保護者と内容を共有する
・新しいメニュー、工夫したメニューを交流しながら個人の努力に光をあて、子どもたちをつなぐ
2 保護者・地域との連携にかかわって
教育活動を支える「3つの共同」
=「子どもとの共同」「地域・保護者との共同」「教職員との共同」
(1)保護者の意識の変容
○学校を単なる「サービス業」としてみている保護者が増加している。
・ファーストフード系生活様式 →自分は「お客」
・「育てられたように育てる」;校内暴力時代の子どもが親に
けれども保護者はわが子のことはもちろん、学校での様子を知りたがっている。
人とのかかわりに対する不安と渇望をもっている。
(2)「保護者(地域)との共同・集団づくり」をすすめるにあたって-
学級・学年での取り組み
○学級・学年の方針・教育哲学を確実に保護者に伝える。
○取り組みの姿や子どもの様子(プラス面)を計画的・意図的に伝える。
教師はみなよかれと思って教育活動を行っている。しかしそれがどう伝わっているのか(教育効果)に対して真摯に振り返らねばならない。
→具体的に伝える手法;学級便り・連絡帳・電話・直接の対話…
→子ども一人ひとりの成長と努力をみつめて個人的に伝え続ける。
;ポジティブな情報を届けるみちすじの上に課題・問題点が載る。
問題点を指摘するときは、合わせて課題克服の手立ても示す。
学級通信の質を問い直す;お知らせvsメッセージ
「この学級便りは宝です。この子に一生持たせていくようにします。」
○懇談会に集う親をつなげる。
保護者とつながり、よりよい関係をつくる
;「あゆみ」だけで終わらせない各学期の関係づくり
○連絡帳・電話・家庭訪問で気になる子・クラスの中心に据えている親と出会いなおす。
・△「うちの子がまた何かしましたか…(対処的取り組みの連続)」
→成長と変容を計画的に、確実に伝える。
○懇談会を中心とした取り組み
・限りある懇談会の内容を展望し、計画的に積み上げていく
・学級の高まり、子どもの成長を具体的に伝える
(例)
→ミニ学習会「子どもを見つめ直しよりよい親子関係を築いていくには」
→懇談会ニュースで広く、確実に理解を得る
→授業参観に子どもたちとの学びの共有をはかる内容を盛り込む。
→アイス・ブレーキング~集団づくりゲーム
→課題や悩みの聞き取り・分析による内容構成
→懇談会を学習の場へ(連続、学年分散会とシェアリング)
→「勇気づけ」「エンカウンター」の発想を伝えていく
→先輩保護者の力を引き出す、活用する
○学校へ足を運ば(べ)ない保護者とも関係を結んでいく。
→懇談会等の後に情報提供
→同和教育の基本は「靴べらし」 ;家庭訪問・電話
○「困った保護者」への対応
教師自身が「困った保護者」をつくり出してはいないか。
(対応の遅れ、説明不足、受身姿勢etc
→カウンセリング・マインド+アドバイザー
;親を取り巻く環境を分析)
「するべきこと」と「できないこと」を分けて考えよ。
→一人だけで判断・解決しようとはしない;学年・管理職・人担
との連携;
スピード・組織・継続の側面をもった対処システムの確立を。
3 学校総体としての取り組み
○エフェクティブ・スクール;校長を中心とした教職員チーム力の向上をめざす。
○多忙化!! ←学校にゆとりを生み出す努力を継続することが不可欠。
○行事に対しては「安定性・改革性」両面からの内部評価と新しい試みの創造を行っていく。
○参加と共同の学校づくり;保護者の学習参加・児童理解の可能性を広げる努力をする。(GT、ヘルパーetc)
○学校だより、ホームページ、地域活動等あらゆる場で学校の取り組みと成果を組織的・意図的に発信していく。
○PTA活動の活性化;「務め」から「歓び」「協業」へ;教師サイドの展望とリードも必要。 +時代に合った組織・サイズの見直しとちからを借りる営みを。
むすびにかえて
「不自由なきがゆえの不幸。」
「涙に潤んだ瞳でないと美しい虹は見えない。」
「人はこの世に愛を学ぶために生まれてきた。」
スピリット (H.Y.)
思い出してください。
人は愛を学ぶためにこの世に生まれてきたことを。
つらさ・切なさ新たなハードルと向き合うとき、
人は命の根を深く伸ばしていることを。
あなたの思いと行動が周囲を明るく照らしてきたことを。
この世は必ず変えられます。
そのために必要なのは心の底からそのことを念じ、
くもりのないスピリットをもって行動し続けること。
道は必ず拓けます。
たくさんの出会いがこれからもあなたを待っています。
○
あなたは、この世にのぞまれて生まれてきたたいせつな人なのです。
○
わたしたちは忙しすぎます。ほほえみを交わすひまさえありません。ほほえみ・ふれあいを忘れた人がいます。これはとても大きな貧困です。
○
人間にとっていちばんひどい病気は、だれからも必要とされていないと感じることです。
○
愛はまず家庭から始まるのです。愛は家庭に住まうものです。
○
子どもたちは家庭のなかに愛やほほえみを見つけることができないと、さびしさをまぎらすために外へさがし求めにゆくのです。
○
無理なことをどうこう思い悩むのはむだなことです。できないことは神様がおのぞみでないのだと思いなさい。
○
たいせつなのはどれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ心をこめたかです。
○
わたしたちのするころは大海のたった一滴の水にすぎないかもしれません。でもその一滴の水があつまって大海となるのです。
○
貧困をつくるのは神ではなくわたしたち人間です。私たちが分かちあわないからです。
○
まず知りあうこと。知りあえばお互いに愛し合うようになるでしょう。互いに愛しあえば支えあうようになるでしょう。
○
もしほんとうに愛したいと願うなら、ゆるすことを知らなければなりません。
○
こんどは、あなたが神さまの愛の運び手になってください。 (マザー・テレサ)
天空遙かなる風 ~魂の道~ (山口裕之)
夜空に群星がまたたいているのと同じく
昼間にもあの青空いっぱいの星々が
私たちを見守り続けているのです。
私たちがその存在を忘れてかけているだけなのです。
日々の空がいかなる雲に覆われようとも
雨や強風が地上を包もうとも
さらに高い天空には太古から吹き続けている
遙かなる風があるのです。
地球(ここ)の全ての生命の歴史を見守り
人間の争いや深化向上をみつめ
私たちに常に真理と正道を投げかけている風が吹いているのです。
私たちが感じることを忘れているだけなのです。
わが心に静寂をとりもどし
自分自身の存在と使命と
全ての生命の幸福の追求に向き合う瞬間(とき)をつくりましょう。
天空の風に思いを馳せ未来永劫変わらぬなげかけを感じられるよう
自らのスピリットを磨きましょう。
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